個人事業主・フリーランスが開業後すぐやるべき!税務手続きガイド

個人事業主・フリーランスが開業後すぐやるべき!税務手続きガイド

 個人事業主として事業を始める際、税務署への各種届出書の提出は欠かせません。提出漏れや提出遅延があると、税務処理に支障をきたすだけでなく、不必要に税額が多くなってしまう可能性があります。この記事では個人事業主の方が開業した後提出すべき書類を解説します。

目次

個人事業の開業・廃業等届出書

重要度:★★★★★
提出期限:事業を開始した日から1ヶ月以内

 個人事業の開廃業等届出書は、個人事業主として事業を開始したことを税務署に届け出るための重要な書類で、事業主の氏名、住所、事業内容、開業日などの情報を記載します。この届出書を提出することで、税務署は個人事業主の事業開始を認識し、各種申告期限前に税務署から必要書類が送付されるようになります。

 提出遅れによる罰則はありませんが、各種通知が届かなくなるため、速やかに提出しましょう。

(参考)国税庁:『個人事業の開業届出・廃業届出等手続』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

所得税の青色申告承認申請書

重要度:★★★★★
提出期限

 原則:青色申告により申告する年の3月15日
 開業年:事業を開始した日から2ヶ月以内

 青色申告承認申請書は、個人事業主が青色申告を行うために提出する申請書です。青色申告とは、一定の条件を満たす個人事業主が選択できる所得税の申告方式で、帳簿や領収書等の記録を備え付け、それらに基づいて正確な申告を行うことを特徴としています。青色申告を行うことで、様々な税務上のメリットを享受することができます。

  • 青色申告特別控除として10万円・55万円・65万円のいずれかを所得から差し引くことができる
  • 損失が生じた場合、最大3年間損失を繰り越すことができる
  • 30万円未満の固定資産を即時償却できる
  • 各種特別控除を適用できる

(参考)国税庁:所得税の青色申告承認申請手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

青色事業専従者給与に関する届出書

重要度:★★★☆
提出期限
 原則:青色事業専従者給与を支払う年の3月15日
 開業年:事業を開始した日から2ヶ月以内

 青色事業専従者給与に関する届出書は、青色申告を行う個人事業主が、生計を一にする親族(配偶者やその他の親族)に給与を支払う場合に提出が必要な届出書です。青色事業専従者とは、個人事業主の事業に専ら従事(他で働いていない)する生計を一にする親族のことを指します。この届出書を提出することで、青色事業専従者に支払う給与を、一定の要件のもと必要経費として認めてもらうことができます。

注意点:青色事業専従者給与を支払っている親族について、配偶者(特別)控除や扶養控除、障害者控除の適用を受けることができなくなります。

(参考)国税庁『青色事業専従者給与に関する届出手続』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

給与支払事務所等の開設届出書

重要度:★★★★
提出期限:給与支払事務所の開設(従業員への給与支払開始)から1ヶ月以内

 給与支払事務所等の開設届出書は、個人事業主が従業員(青色事業専従者を含む)を雇用し、給与を支払う場合に提出が必要な届出書です。この届出書を提出することで、源泉所得税の納付書が税務署から届きます。

注意点:従業員を雇用しない場合は、この届出書の提出は不要です。

(参考)国税庁:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

重要度:★★★★
提出期限:給与支払事務所の開設(従業員への給与支払開始)から1ヶ月以内

給与から差し引いた所得税の納付回数を年12回から年2回に減らすことができる特例の申請書です。 

メリット:源泉所得税納付の事務作業を大幅に軽減できます。
適用条件:給与の支給対象(従業員)が10名以下の事業者
納付期限:7月10日(1月~6月分の所得税)と1月20日(7月~12月分の所得税)の年2回

(参考)国税庁:『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

適格請求書発行事業者の登録申請書

重要度:★★★☆☆(事業内容により検討)
提出期限:特に期限なし(登録日から適用)

 インボイス(適格請求書)を発行するための登録申請書です。インボイスとは特定の要件を満たした請求書のことで、インボイスの発行にはこの申請書を提出する必要があります。

メリット:インボイスを発行することで取引先の消費税納付額が減少します。
注意点:登録により消費税の納税義務が発生するため、慎重に検討が必要です。
登録日について
 申請書の提出期限は特にありませんが、登録日からインボイス発行が可能となります。
 ・登録希望日の記載なし:税務署の登録手続きが完了した日
 ・登録希望日の記載あり:登録希望日(※)
 ※登録希望日は申請書の提出日から15日以後の日付を指定します。

 なお、開業初年度のみ、開業年内に申請書を提出することで開業年の1月1日にさかのぼって登録をすることが可能です

管轄の税務署

 管轄の税務署はご自身の納税地(住所・居所・事務所所在地のいずれか)によって異なります。
 次のサイトから調べることができます。

 国税局:『税務署の所在地などを知りたい方』https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

社会保険・労働保険に関する手続き

 開業後に従業員を雇用する場合には、社会保険(健康保険・厚生年金保険)および労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きも必要になります。ただし、これらの手続きは税理士ではなく、社会保険労務士の専門分野となります。詳しい手続きや必要書類については、社会保険労務士に相談するのが安心です。

税務手続きや書類作成に不安がある場合は専門家へ

 開業後に提出する書類の作成は、複雑で難しいと感じるかもしれません。当事務所にご依頼いただければ、上記の書類の作成及び提出をすべて承りますので、ぜひお気軽にご相談ください!

まとめ

 開業後の手続きは複雑ですが、一つひとつ順を追って確認すれば問題ありません。提出期限や必要書類をしっかり整理し、安心して新しい事業をスタートしましょう。困ったときは専門家への相談も検討してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次